【浜松】キャサリンハムネットのハーフラバー補強・トップリフト交換|グラデーション磨きで仕上げるストレートチップ
こんにちは!
浜松市で革靴や革製品の修理を行っております、靴工房Ellgonの園田です。
(浜松、磐田、袋井の修理はお任せください)
(県外でもご相談ください)
今回は、日本のビジネスマンの足元を支える英国ブランド 「KATHARINE HAMNETT LONDON(キャサリンハムネット ロンドン)」の修理事例をご紹介します。
お預かりしたのは、最もフォーマルで美しい「内羽根ストレートチップ」。
キャサリンハムネットらしい「ロングノーズ(つま先が長い)」のシルエットが際立つ、非常に色気のある一足です。
そして、このブランドのファンなら誰もが知っているのが、「靴底(ソール)」のデザインです。
キャサリンハムネットの革靴【修理前】
靴底を見てください。デカデカと「CHOOSE LIFE(人生を選べ)」などの文字が刻まれています。

修理屋として正直に言いますと… この文字、隠してしまうのが本当に惜しいくらいカッコいいんです!
実はこれ、単なる飾りではありません。 80年代のロンドンパンクや社会運動の流れを汲んだ、デザイナーからの熱いメッセージなんです。 見えない靴底にこそ魂を込める。その心意気にグッときますよね。
しかし、レザーソール(革底)のままだと、どうしても日本の道路では滑りやすく、カカトのゴム(トップリフト)も消耗してしまいます。
「デザインを取るか、実用性を取るか…」 悩みどころですが、園田は「長く履き続けるための実用性」と「更なる美しさ」をご提案します!


キャサリンハムネットの革靴【修理後】
園田の手にかかれば、こうなります!
惜しまれつつも、靴底の前半分には「ハーフソール(Vibramなどのラバー)」を貼り付けました。 メッセージの一部は隠れてしまいましたが、これでグリップ力と耐久性は格段に向上!
すり減っていたカカトのゴム(トップリフト)も新しく交換し、ガシガシ歩ける「戦える靴」に進化しました。

そして今回のハイライトは仕上げの「磨き」です。
単に光らせるだけでなく、つま先から甲にかけて自然に色が移ろうような「グラデーション」をつけて鏡面磨きを施しました。
ロングノーズの先端に深いツヤと陰影が生まれることで、キャサリンハムネット特有の「色気」が倍増しています✨


キャサリンハムネットの革靴【修理ポイント】
- 🛠️ ハーフソール貼り付け: 滑りやすい革底をゴムで補強し、摩耗防止とグリップ力を強化
- 🔩 トップリフト交換: 消耗したカカトのゴムを交換し、歩行の安定性を回復
- ✨ グラデーション鏡面磨き: つま先に深みのあるグラデーションを施し、立体感と高級感を演出
「デザインが気に入っているから、ボロボロになっても捨てられない」
そんな靴こそ、修理のタイミングです。 デザインの良さを活かしつつ、日本の環境で美しく履けるようにカスタマイズさせていただきます!
知らなくても困らない、園田の靴雑学
KATHARINE HAMNETT LONDON(キャサリンハムネット ロンドン)
・発祥国: イギリス(ロンドン)
・ブランドの発祥年: 1979年
- 「言葉を身にまとう」伝説のスローガン
この靴のソールを見て、「なんだこの文字は?」と驚いた方もいるかもしれません。そこに刻まれた「CHOOSE LIFE」「NO MORE FISH IN THE SEA」といったスローガンは、社会派デザイナーであるキャサリン・ハムネット氏の代名詞。80年代に世界中のミュージシャンが着用したスローガンTシャツの魂を継承し、ファッションを通じて平和や環境保護を訴える、ロックでパンクな精神が足元に宿っています。 - 日本のビジネスマンを支える「美脚シルエット」
日本では特に靴のラインナップが豊富で、「ロングノーズ(つま先が長い)」スタイルといえばキャサリンハムネット、と言われるほど定着しています。つま先が長く伸びたデザインは、パンツの裾からスラリと足先が伸びて見えるため、「脚長効果」が抜群。野暮ったくなりがちなスーツスタイルを、一瞬で色気のある大人っぽい雰囲気に格上げしてくれる、魔法のような形をしています。 - 環境保護(エコ)ファッションのパイオニア
今でこそ「サステナブル」という言葉は当たり前ですが、キャサリン・ハムネット氏は何十年も前から「環境に優しい素材」や「倫理的な製造」を訴え続けてきた先駆者です。今回の靴のように、つま先が削れるまで履き込んだ靴を、捨てずに修理して使い続けること。それこそが、「STOP AND THINK(立ち止まって考えろ)」という彼女のメッセージを体現する、最もクールでスマートなファッションの楽しみ方と言えるでしょう。

